蛇にピアス

@札幌シアターキノ
綿矢りさの「蹴りたい背中」と金原ひとみの「蛇にピアス」が話題になったとき、私は断然「蹴りたい背中」のほうが好きだった。
蛇にピアス」の中に流れる危険な雰囲気が怖かったのかもしれない。
話題になったときに、滅多にハードカバーを買わない私が、2冊同時に買って、ものすごい勢いで読んだのを覚えている。
まさに、青春だった。
両作品とも映像化しづらい内容だと思ったので、「蛇にピアス」が今になって映画になると知ったときは驚いた。
でも、監督が蜷川幸雄なら間違いないだろう。
そう思って、公開初日の今日、早速映画館へ足を運んだ。
私は基本的に映画や本を何度も見たり読んだりしないので、「蛇にピアス」の内容もほとんど忘れていた。
だから新鮮な気持ちで見れたけど、作品に漂う空気だけはしっかりと覚えていて、映画の中にまったく同じ空気が流れていたことに驚いた。
さすが蜷川幸雄、としか言いようがないのだけれど。
この映画は、どのシーンを切り取っても、痛い。
痛みしか感じられず、つらくなった。
でもその痛みは、生きている証拠でもある。
あまりにも何も感じられないから、痛みを求めてしまう気持ちも理解できてしまう自分が、少し怖くなった。
もっと強くなりたいと思うのに、誰かに頼らずには生きていけない。
アマに依存していたことにも、アマを失って初めて気付く。
たしかに表現はオーバーかもしれないけど、感情としては誰もが共感できるはず。
結局アマを殺したのは本当にARATAだったのかな?
たしか原作でもそこは有耶無耶のままだったような。
やっぱりARATAめっちゃかっけーな。
目の間の牙?みたいなのがよくわからなかったけど(笑)。
あー、なんか痛すぎて疲れたー。
だいぶ鬱になりそうです(笑)。
★★★★☆