つきのふね

つきのふね (角川文庫)

つきのふね (角川文庫)

私がいつだって一番泣いた、一番好きな本と答えていた作品です。
図書館で借りてきて一度だけ読んで、号泣した。
本を読んでこんなに号泣することは生涯もうないかもしれないと思うほど、
もう止め処なく涙が溢れてきて、どうすることもできなかったんだよ。
あれはたぶん中2か中3ぐらいのときだったのかなぁ。
あまり詳しいことはよく覚えてないけど。
改めて文庫になった「つきのふね」を見つけたとき、
もう一度読んでみたい!と思った。私は一体どうしてそんなに泣いたんだろう。
思い出は、今も思い出にならずに、私の胸に留まり続けてるんだろうか。
何気なく手に取って、大切な想いを忘れないように1ページ1ページ大切に読んだんだ。
でも、そこに感動は一つも残っていなかった。
私の心は渇いてしまったんだろうか。それとも、昔の私が渇いていたの?
あんなに泣いたシーンは一体どこだったのか。
全然わからなかった。涙は一滴も流れなかった。
きっと私は、この本を読んだとき結構ひどいいじめに遭っていたんだと思う。
精神的にかなり参っていて、友達とかノストラダムスとか、
そんなことに興味があったのかもしれない。
読む側の心境によって同じ本も全く違うものになると改めて知った。
この本にそんなに感銘を受けないことが、良いことなのか悪いことなのかわからない。
なんだか渇いた気持ちが悲しくもあり、今はそんな悩みを抱えていない自分が
幸せなのかもしれないと考えたり、よくわからなかったよ。
一番好きな本を聞かれて迷わず「つきのふね」と即答していた私はもういない。
どこが良かったのかすら理解できなかったのは結構ショックだったなぁ。